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受け入れがたい事にこそ自分が変わるチャンスがある

2016年10月28日 [ 社長コラム ]


今月は、到知10月号、『上甲晃氏が語る、松下幸之助』月刊誌致知10月号より、マザーテレサのお話について書きます。

松下政経塾で14年間塾生を育ててきた中で、やる気のない人を教育するのも難しいが、自分に自信のある人を教育するのも難しいことを痛感しました。自分は偉いと思い込んでいる人は、素直に言うことを聞かない。松下政経塾には当初、エリートを自認して偉そうにしている塾生がたくさんいました。人の言うことを聞かず、理屈が多く、指導には大変苦労をしました。そんな私に大きな示唆を与えてくださったのがマザー・テレサでした。
マザー・テレサの言葉に常々深い感銘を受けていた私は、この人に会いたいという思いを募らせ、ついに後先考えずにインドのカルカッタ(現・コルカタ)へ渡りました。彼女に直接、どうしても聞いてみたいことがあったからです。当時のカルカッタは人口1千万人のうち200万人が路上生活者で、至るところに生死も分からない行き倒れの人が転がっていました。全身から膿を出している人、ウジ虫の湧いている人、とても側に寄れたものではありません。しかしマザー・テレサと仲間のシスターたちは、一番死に近い人から順番に抱きかかえて、死を待つ人の家に連れて行き、体を綺麗に洗ってあげ、温かいスープを与えて見送るのです。せめて最期の瞬間くらいは人間らしくと願ってのことでした。
運よく、カルカッタの礼拝堂でマザーに面会することができた私は、「どうしてあなた方は、あの汚い、怖い乞食を抱きかかえられるのですか?」と尋ねました。マザーは即座に、「あの人たちは乞食ではありません」とおっしゃるので、私は驚いて「えっ、あの人たちが乞食でなくていったい何ですか?」と聞くと、「イエス・キリストです」とお答えになったのです。
私の人生を変えるひと言でした。マザーはさらにこうおっしゃいました。
「イエス・キリストは、この仕事をしているあなたが本物かどうか、そしてこの仕事をしているあなたが本気かどうかを確かめるために、あなたの一番受け入れがたい姿であなたの前に現れるのです」目から鱗が落ちる思いでした。マザーの言葉を伺った瞬間、私が松下政経塾で、あんな人は辞めてほしいと思っていた塾生が、実はイエス・キリストであったことに思い至ったのです。自分はこれまで、他人を変えようとするあまりどれほど人を責めてきたことだろうか。しかし、いくらそれを続けたところで人を変えることはできない。人生でただ一つ、自分の責任において変えられるのは自分しかない。常に問われているのは、自分から変わる勇気を持てるかどうかだ。このことに気づいた途端、心が晴れ晴れとしてきたのです。

過去と他人は変えられない、未来と自分は変えられる。変えられないものにあらがってイライラしていませんか。自分の気に入らないものが目の前に現れるのは、自分の心が鏡のように映っているのです。自分の姿を目の前に映し出してくれているのです。目をそらしたくなりますよね。目の前に現れる腹の立つ人、聞きたくない言葉、見たくない失敗、全部、イエス様、仏様なのです。自分が本物かどうか、天が試しておられるのです。そう考えると、元は自分、全ての現象は私に有るべき姿を教えてくれていると思えます。自分が変わろうとすれば、まわりが変わり、視界が開けます。自分はこんなにがんばっているのにわかってくれない、あの人のせいだ、自分は出来ているからこんな事は聞きたくない、に陥らず、自分の受け入れがたいことにこそ自分が変わるチャンスがあると楽しんで受け止めたいですね。今月も有り難うございます。

日本電子工業株式会社
山之口良子


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