松下幸之助さんの言葉
2025年04月28日 [ 社長コラム ]
早いもので4月も終わりに近づいています。
今月は2018年 致知随想
中博氏 松下幸之助さんの言葉 から書きます。
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京都大学経済学部を卒業した私が、
松下電器産業に入社したのは昭和44年。
入社式のスピーチで、
当時会長だった松下幸之助さんに
初めてお目にかかった時のことは、
いまでも忘れられません。
世界に冠たる松下電器なのだから
高度な経営戦略について語るはず、
と期待していたのですが、
松下さんは次のように語られたのです。
「君らな、僕の顔をよく見ろよ。
このおっさん、何か面白いな、
なんか縁があるな、と思ったら、
松下電器で頑張ってほしい。
しかし、何かぱっとせんな、
こんな会社は嫌やなと思ったら、
明日から来なくていい。
......君らは偉くなりたいやろう。
そしたらこの中で誰よりも
松下電器が好きになったら、偉くなるよ」
期待していた話が聞けなかった私は
正直、松下さんの言葉が
すっと心に入ってきませんでした。
しかも実習で配属されたのは、
作業で真っ黒になる乾電池工場。
さらに私一人、当時アメリカ企業と
合弁で開発していたアルカリ電池をつくる、
掘っ立て小屋のような実験工場で
実習することとなったのです。
格好いい背広姿の大学の同期のことを思うにつけ、
私は松下電器に入ったことを後悔しました。
しかし、中卒・高卒で入社した年下の上司
(ほとんど女性)とともに、
現場の工場でともに汗を流し、
呑みに行ったりした体験は、
ものづくりの喜びを知る原点となりました。
そして驚いたのは、
誰もが松下電器の社員であることに誇りを持ち、
いつも笑顔で仕事が辛いと言う人が
一人もいないことでした。
これには本当に感動しました。
実習後は、思いがけず会社全体の経営戦略を練る
本社企画室に配属。
幸之助さんのお話には
戦略的なことはあまり出てきませんが、
心の部分と合理的な戦略が一体になっているのが、
松下電器の強さだということを
実感させられました。
そして、もう1つ感心させられたのが、
「任せて、任せず」の人材教育が
徹底されていたことです。
そのような社風の中で、
好きなことに思う存分挑戦させていただきました。
さらに30代の若さで、
関西経済連合会に出向となり、
後に住友信託副会長となる堀切民喜氏など、
錚々たる方々と仕事をする機会にも恵まれました。
やはり、自分の会社や仕事を
好きになって、楽しむことこそが、
成功するための一番の近道である
というのが私の実感です。
幸之助さんがスピーチでおっしゃったことは
間違っていなかったのです。
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幸之助さんの言葉は
大会社の会長が仰るとは思えませんが、
まさに人間味あふれる器の大きな、
そばに居るだけで感化される方だったのですね。
会社に所属されている皆様も
なんかこの会社おもしろいな、縁あるな
と思っておられるから今があります。
いややな、面白くないな、と思われないよう、
ご自身が会社、仲間、仕事を好きになって
楽しむ会社になれるよう
経営層と従業員とが力を合わせ
魅力ある会社にしていきましょう。
今月もありがとうございます。
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株式会社JEI
山之口良子