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嫌いが開く新市場

2025年09月26日 [ 社長コラム ]


今月は日経新聞 8/4 経営の視点、嫌いが開く新市場、
ななつ星とユニクロについて書きます。
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JR 九州の豪華寝台列車ななつ星とカジュアル衣料品ブランドユニクロ、
前者は非日常の体験を売り、後者は日常品。
客層も価格帯も異なるが共通点もある。
日本初で新市場を開き世界の客を捕まえたこと。
既存商品を「嫌い」な人に商機を見いだしたことがともに起点となった。
社長として、ななつ星開発の陣頭指揮を執った唐池恒二相談役は、
一貫して僕は鉄道が嫌い、と言い続けている。
鉄道好きの多い社員に鉄道に無関心な人、避ける人の気持ちを理解しろと説くためだ。
欧米の高級列車のまねでは無く、
調度品から料理まで町中にあっても最高級といえるものを集めた。
その結果世界の旅行者が選ぶ列車ランキングで 3 年連続首位となっている。
ファッション業界も服好きの社員が同好の客に目を向けがちという同じ罠が待つ。
柳井会長は、「ファッションに興味のある人はごく一部、
大半の人は服に興味も無いし忙しくて時間も無い」
メーカーの多くはそこで間違うとみる。
ユニクロが衣料市場に起こした変革を「おしゃれ嫌い」との分析もある。
「嫌い」を取り込む動きは多方面に広がる。
美しい高原が広がる尾瀬、ここに今年新型の山小屋が開業する。
一人ずつ区切られた寝台。最新のトイレ、コンビニもある。
山を楽しみたいが雑魚寝、古いトイレ、
装備は持参という山男文化は嫌いという客を開拓する。
山という共有財産をマニアから解放する試みといえる。
逆に嫌いという心理を軽んじ、存在感を失いつつあるのが
かつての日本産業界の二枚看板、電機と自動車ではないか。
携帯電話では日本メーカーは高機能を競う間に、
スティーブジョブスという文系人間が率いるアップルが
操作の簡単でマニュアルも無い iPhone を発売すると一気に市場をさらわれた。
自動車には自動運転という巨大市場が眠る。
運転は面倒だと感じている人が圧倒的に多いのになぜ日本メーカーは
自動運転に全力を注がないのか、世界のマーケティング事情に詳しい、
刀の森岡社長(USJ 再生、沖縄シャングリア開発)は惜しむ。
ファン層の深掘りか、広大な「嫌い」層の開拓か、
人口減少の中、好機は見落とさないようにしたい。
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ななつ星乗ってみたいですが、発売して 3 分で売り切れるそうです。
ユニクロは年数回しか行きませんが、なぜか安心して行けます。
市場開拓というと、好き、好感を持っているなどの視点から考えがちですが、
嫌いの方向から市場を掘り下げるというお話は新鮮です。
嫌い=今のものに満足していない=満足するものを求めているともいえます。
つまり、今のユーザーよりも厳しい視点を持っている潜在客とも言えます。
JEI の電気錠やセキュリティ機器のシェアから考えて、
嫌われる以前、知らないお客様が大半です。
まず接点活動や HP 他の広報で知ってもらい、
選んでいただけるよう他社との差別化をはかる、
iPhone のように取説を読まなくても、直感的に簡単に使える、
愛着がわく製品をお届けし続ければ、
気づいたら、ほらそこに JEI、になります。
セキュリティインフラ企業になります。
今月もありがとうございます。
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2025年9月26日
山之口 良子


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