工場戦争
2025年11月28日 [ 社長コラム ]
一気に季節が進み、秋が短く冬が間近に感じられますが、
寒さに備える準備を進めておられることと存じます。
今月は、日経新聞10月18日オピニオン欄、
半導体戦争に続く「工場戦争」について書きます。
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半導体戦争とは地政学と密接に関係する最先端技術を
巡る攻防戦のことだった。工場戦争は国家の工業力、
生産力を巡る攻防戦だという。米国の対中国半導体規制、
100%関税は米国の製造業回帰、工業力の回復が狙いである。
一方で、工業力こそが国力の中核であり、そこで優位性、
供給網での覇権的地位を守ろうという狙いが中国にはあり、
米国は一歩も引けない。今や中国を追う立場になった
米国が20世紀型工業力を復元するわけでは無く、
製造業とAIを掛け合わせ、
生産性の極めて高い新次元の工業力を獲得したり、
開発製造データを活用しつつ
新たなサービスを発明したりしようと考えるはずだ。
GAFAMに共通するのは稼ぐ力の強さ→
高水準の株主還元と設備投資→
高い株価というステップを営々と繰り返している点だ。
弱点があるとすれば工業力とは無縁の世界に身を置いていることだ。
GAFAMが成長の源にしているインターネット上の
データの量はオフラインを含めた地球上のデータ量の
ほんの一部に過ぎない。オフライン、ネットに
つながっていないデータの多くは企業の開発や製造、
営業現場などに眠っていると言われている。
中国は製造現場を豊富に持っている。
では日本はどうするか。
日本は中国にも米国にも負けない
工業資産を既に持っている事を忘れてはならない。
企業に眠るデータの量と世界中で稼働中の
日本企業製の工業製品の数だ。
おそらく中国より40年以上オフラインデータは多い。
世界中で走っている日本車が二億台以上あり、長く世界一だ。
地球上に存在する有形無形の日本の資産を
新たな価値に変えていけないか、
米中の工場戦争もAI戦争も黙って眺めている余裕は無いだろう。
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米国と中国のせめぎ合いを黙って横で見ているだけで無く、
漁夫の利はないものか。
会社や工場にあるオフラインのデータを活用する、
つまり集めて分析して必要な人に必要な形にして
提供するビジネスがJEIでできないか。
製造業とAIを掛け合わせ、
生産性の極めて高い新次元の工業力を獲得したり、
開発製造データを活用しつつ新たなサービスを発明したりできないか。
JEIはこれからも考え続けます。
2025年11月28日
山之口 良子



